印刷を生業(なりわい)にしているからと言って、「生まれつき印刷が大好き!」だとか、「三度のメシより印刷が好き!」とかそういうわけではありません。でも、せっかく覚えた知識や蓄積したノウハウ知りたい人にはそっと教えてあげたい。





Q1:「部数減るけど去年の単価と同じでいいよね?」に「はい」とお答えできない理由

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A: 考え方としては(ちょっと乱暴な例えをするなら)、

昨年200部で総額¥50,000(@250)の印刷物のうち¥25,000が版下制作代だったので、
今年100部の時に去年の総額の半分¥25,000(@250)では請け負えないというようなことです。


官公庁の契約課や大手民間の印刷発注専門の窓口の方でもなければご存じないと思いますが、

印刷の料金は、基本的に

@企画デザイン
A版下作成
B製版
C刷版

D印刷
E製本
F用紙代


など多くの工程から成り立っており、そのうち

@〜Cは部数に関係なく1部だけでも10,000部作っても同じ金額になります。

それに対してD〜Eは[固定基本料金]+[枚数比例]

さらにF用紙代は概ね[枚数比例]のため、

少量のご注文の場合は@〜Cが総額に占める割合が増え、分母も小さいため単価が高く感じられ

多量のご注文の場合は
@〜Cが総額に占める割合が減り、分母も大きいため単価は安く感じます。

ここが既製品を購入するのと違うところで、納品する品物は似ているものの

本屋さんのように「300円で仕入れた本を400円で販売する」のとは、積算方法が全く違うのです。

[版下デザイン・編集・制作・製版費(固定)]+[印刷・製本費・用紙代(固定+比例)]を注文数量で割るオーダーメイドと考えていただいた方が、ご予算をつかみやすいと思います。

見積もり無料!参考までにという方も歓迎します。印刷の見積もりはすべてオーダーメイド。われわれも勉強になるんです。




Q2:「ワープロやDTPソフトで自分で作った版下、まあまあ満足。
でも、プロのものと比べてやっぱりな〜んか違う...」

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A:印刷会社ではその技術を飯の糧にしているプロのクリエイターが、高度な環境と設備の中で毎日経験を積み重ねていますが、昨今はパソコン1台で同じようなものを作るという方もいらっしゃいます。そういう方を除いた初心者の方向けのアドバイスです。

まず、書体(フォント)の問題ですが、たいていパソコンを買った時点で最初から入っている書体は必要最小限のもので、気のきいた版下をつくるには少し物足りないものばかりです。今は個人で使うぶんには数千円から1万円位で何十書体も入っている便利な書体パックをパソコン屋さんなどで売っていますから、まずそれを使って版下のフォントを変えてみてください。それだけで随分見栄えが違ってきます。

次に版下のレイアウトですが、これもレイアウトのテンプレートが一太郎やワードについていますので、それを使ったり、応用してみると良いでしょう。そういうソフトに頼りたくないとか、ソフトを買うのがいやな人は雑誌や本のレイアウトと自分の版下のどこが違うのはよく比べてみることです。私どもで入稿時によく目にするのは、1頁に文字数をたくさん詰め込もうとして、紙の大きさに対してて版面(はんづら)、つまり印字されている部分が大きすぎるという場合や、行間が狭すぎる場合で、これらは印刷物になった場合、非常に読みづらかったり、見る気さえ起きなかったりします。これでは当初の目的である「情報を伝える」という意味を成さなくなってしまいます。読む側の立場に立って、読みやすい版下作りを念頭に、上下左右のマージンを十分にとり、行間が狭くなりすぎないように注意しましょう。

以上簡単に版下と印刷のコツをお話しましたが、何か質問があれば直接メールを下さい。答えられる範囲でお答えします。



Q3:「印刷物が多すぎて書庫が一杯。もっと簡素化したいけど...」
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A:印刷を生業にしている以上、印刷物の発注を少なくしたいという相談には乗りたくないのが正直なところです。ただ昨今の環境問題、ペーパレス化、デジタル化など様々な事情により、紙による媒体を通じた伝達方法である印刷を生業とした印刷業界にとって逆風ばかり吹いている状況では、奮起して新しい進路を決断する必要があるという危機感に日夜さらされています。とはいえ、紙の媒体が数年の間に全くなくなるというということは現状考えづらく、しばらくは印刷と新しいメディアを2刀流でやっていく方法を模索しています。そこで今までのノウハウを生かし、なおかつ時代に合ったデジタル化、合理化を図れるXMLや動画や音声を取り込んだXMLデジタルコンテンツ製作に可能性を感じています。

XMLとは、簡単に言えば担当者の裁量で印刷の発注の度に違っていた文書の書式を、一定の法則で簡素化し、なお且つ印刷物とともにデジタル化した文書を、文書のデータベースにするという事です。その利点は、例えば総務課の人が、何万頁にも及ぶ大量で膨大な手引書や例規集の中から「労災」について調べたい時に、今まではその大量の印刷物の中から長年の経験と感に頼って調べていた物を、コンピュータのデータベース検索で瞬時に該当する例規などを調べることが出来るという事です。また、加除式で毎年印刷している印刷物も廃止して、デジタル管理することにより書庫が整理されます。まずはお客様の予算要求などの大きな変革が必要ですが、それに応じた十分な合理化が図られると思います。まだまだ暗中模索の状態ですが、興味のある方はご相談下さい。

印刷業者にとっては自らの首を絞めるような新分野への挑戦ですが、われわれが手をつけなければ、やがて今の印刷業を脅かす存在になることは明白なのです。私たちの強みは大量文書の正確で迅速な文字入力や編集を生業にしてきたことです。XMLの請負業務は今のアナログで保存されている文書の全てをデジタル化する作業が終われば、それ自体では我々にとって採算ベースに乗らなくなるように思います。ただ、そこに移行するまでの大量のデータ入力は、速くて正確で、大量の文書の扱いに慣れている印刷会社こそ、最も適した発注先となるでしょう。

XML時代はすぐそこまで来ています。大量文書保存の合理化はXML、そして印刷会社がキーワードです。



Q4:「企画書をつくったけど、その文字・画像データを引用したパンフレットや報告書、ホームページも作りたい。」
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A:印刷会社の技術がデジタル化する前には、データの引用は実際の工程の中ではアナログ的作業を伴いました。しかし、すべての工程が電子化している今、XMLやPDFなどを活用し、同じ企画の中にあるプレゼン用の資料、計画書、パンフレット、報告書などがデータベースからのデータの抽出だけで済むようになりつつあります。
これからプレゼン用の資料やパンフレットを計画している場合は、印刷の予算についてもう少し長いスパンで展望していただいて、1つの企画はまとめて計画して見てください。必ず予算や作業の合理化につながるでしょう。

印刷業界も新しい技術の追求に余念がありません。パソコンが安価になり、家庭やオフィスに浸透した今、その互換への対応や小回りの効く利便性からわれわれ中小印刷会社が注目され直しています。




Q5:「自分のパソコンで作ったチラシや報告書のデータ、家の環境では印刷できない。そこだけ、プロに頼める?」
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A:もちろんできます。
印刷会社はお客様の版下作成やプリントアウトの環境をほとんどあるいは完全にカバーしています。つまり印刷会社が持つ高品質のプリンターや印刷機の能力をお客様の作った版下データの出力用に利用することができるのです。当初は細かい書体や環境などをつめる必要がありますが、慣れていけばかかる日数等も把握できますし、版下作成の費用がかかりませんから、納期的、予算的に無駄がないでしょう。

パソコンでの版下作成に精通はしていても、個人でプロ並みの印刷環境はなかなかそろえられません。印刷が奇麗にならないかとお考えではないですか?一度、プロの環境でのプリントを試してみませんか。



Q6:「卒業文集のカラー表紙に1冊毎バラバラに各生徒の顔写真を載せるなんて厳しい?」
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A:これはオンデマンド印刷の最も得意とするところです。

最近はヴァリュアブル印刷などと呼んでいます。今まで一般的に印刷というと「1つの原稿を大量に複写すること」ととらえられてきました。しかしみなさんのところに保険会社からあなたの個人情報が印刷されたパンフレットなどを持ってきたりすることはありませんか?またダイレクトメールなどもそうですね。何万件もの印刷物にそれぞれ個人名やIDナンバーなどが印刷されています。

このように今の技術ではそれは可能なんです。活字情報どころか、カラーの顔写真さえ一枚一枚別の写真を載せて印刷する事が可能です。あとはお客様がいまにアイディアを持ってそういう技術を活かしていただくかということです。印刷業界逆風の時代と思われがちですが、利用の仕方によってはまだまだ使い勝手の良さにご満足いただけると思います。

そういったアイディアや企画を持たれている方、予算化できるかは別にして是非声をかけてください。われわれもせっかくのスキルをどう利用するか常に模索し、何かお役に立てないかといつも考えています。

また同じテーマを対象にしても、業界が違えば、全く違う価値観で見ていたりするものです。よくお客様から、「こんなことできる?」と聞かれて、「技術的には十分フォローできることなのに、なぜ今まで業務としてやってこなかったんだろう?」と気づかされることもあります。





Q7:「最近、CD−ROMなんかを印刷物に添付したりするのが流行ってるけど、それぞれ印刷会社とデータ会社に頼まなくては駄目なの?」
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A:われわれに頼めば解決です。
CD−RやMOなどいろいろな光ディスクや磁気ディスクが出回っていますが、結局は紙に印刷していたものを何に焼き付けるかという違いだけで、われわれが今までやってきた情報伝達の手段であることには変わりがないのです。インクを練って紙に印刷する仕事はだんだん少なくなるかもしれませんが、世の中にテレパシーが普及しない限り、情報伝達の手段は必要でしょう。紙は携帯性や一覧性においてこれからも最も身近な媒体でしょうが、データの再利用や環境保全を考えると、今までのように無尽蔵には使えなくなるでしょう。それでも読みやすいデータ作成から焼き付けという仕事はわれわれの長年培った技術と何らかわらないものであり、これからもわれわれの生業となっていくでしょう。

ビデオテープの規格の「ベータ」のようにマイナーな媒体は淘汰されるでしょう。将来的にデータを保存されるならよく普及しているメジャーなものがお勧めです。CDやMOのような。



Q8:「会議の資料どうしても明日までに500部必要なんだけど、品質にこだわらないから何とかしてくれない?」
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A:こういうお問い合わせが結構多いんです。しかも忙しい時や用事のある時に限って。
しかし私達はできる限り、お客様の要求にお応えしようと日々心がけております。そしてこのような要求のほとんどに応えてきました。まあ1日で500頁100000部を版下作成からなんていうのは物理的にどんな大きな工場があってもムリですが、あとは印刷するだけのダイレクト印刷や文字データをパソコンで入力済みのデータ渡しの少部数のものなら大丈夫でしょう。あきらめる前にご相談下さい。

徹夜でコピーをとってホチキスで綴じていたら、大事な会議で能力を発揮できません。気軽に声をかけてください。思った以上に速いんです。




Q9:新企画のパンフがようやく校了、「15000冊を来週早々に納品よろしく。あ!キャンペーンスタートが早い仙台支店分の50冊だけあさってまでなんてムリだよね。」
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A:旅行会社、冠婚葬祭会社、企画会社、中古車販売会社、外食産業などどんな会社でも販売促進の企画を当てたい気持ちはいっぱい。

10000冊をデジタル印刷するのは採算に合いませんからオフセットで印刷します。でもオフセットもデジタルも版下データは共通ですから、先出し50部はオンデマンドで対応できます。

安っぽいカラーコピーで間に合わせては、せっかく練った企画も台無し。そういうツメの甘さ、見る人は見てますよ。

■■■ 印刷のつまみ食い ■■■

上記のように、総部数が多い場合の先出し分や、テスト期間用の印刷にはデジタルオンデマンドが最適。テスト期間で企画の採算見通しが立ってから本刷り(オフセット)すれば、大量在庫の心配なし!

■■■ 印刷のおかわり ■■■

さらに企画は大成功。そろそろ企画の予約・受付期間を終えようと言う時期に「締め切りまであと少しなのにパンフが足りない!」なんて言う時もオンデマンド印刷で必要な分だけローコストで増刷することが可能です。


自費出版など注文の都度、少部数を増刷する場合、大量に在庫を抱えたくない場合などにもかなり有効!

オンデマンド印刷の誕生でお客さまのニーズに応じた印刷の対応が可能になりました。オフセット印刷と違い、1枚から出力できますのでまずはお試し下さい。





Q10:「オンデマンド印刷(POD)ってよく聞くけど、普通の印刷とどう違って、どういうメリットがあるの?」
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A:オンデマンド機が出る前は上記Q1にもお答えしているように印刷は50部でも300部でも紙以外の消耗品費はほぼ同じだけかかりました。実際の作業でも印刷機に版をセットする作業などは部数にかかわらず同じ手間がかかります。

ところがオンデマンド機はほぼ部数に比例してコストがかかるコピー機のような機械なのです。それによって今まで少部数になるほど単価が割高だったものが部数が増えても大差ない単価で仕上げる事ができるようになりました。

また版下の作業から印刷の作業の間にあったいくつかの工程を省くことができるので時間的な短縮も図れます。

ただし総額が数量にほぼ比例していくために1000部以上などの大量部数では従来の印刷方法の方が割安になるという弱点もあります。また印刷物の種類によってはオンデマンド印刷では対応できないものもあります。われわれは概ね500部程度がオフセットとオンデマンドの利益分岐点ととらえています。

オフィスのコピー機で、パソコンデータをオンラインで両面印刷、しかも製本さえできてしまう時代はもうすぐそこです。しかしすべてのオフィスに浸透するまでにはまだ時間がかかるでしょう。パソコンデータの印刷や小部数の印刷はオンデマンド印刷におまかせ下さい。


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